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安藤美姫とマリア・シャラポワ

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/20止

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/20止_c0065429_5545263.jpg 安藤美姫は言う。「毎日が楽しくて、オリンピックシーズンという気がしないんです。どうしようという感じ」。その表情が北米での充実ぶりを示している。

 実績を重ねるにつれ、遠い夢だった五輪が身近に感じられるようになって来た。「もし出場できれば、順位は何番でもいい」と言って、72年札幌五輪の銅メダリスト、ジャネット・リンの名前を挙げた。スピンで転倒しながら、トレードマークの笑顔を曇らせることなく、最後まで演じ切った。金メダリストより多くの拍手を集めたリンは「札幌の恋人」と呼ばれ、今も語り継がれている。

 渡米前、陸上ハンマー投げの室伏広治らと食事をする機会があった。室伏は「オリンピックチャンピオンは何人もいる。でも、みんなの心の中に残る選手は多くない。自分はそうなりたい」。アテネ五輪金メダリストから、進むべき道を示してもらったような気がした。

 五輪の舞台に立つ姿を思い描きながら、安藤は打ち明ける。「見ている人に何かを感じてもらえるような演技をしたい。それでスケートは辞めたいと思ってるんです」。引退後、結婚して22歳で出産する。既に子供の名前も決めている。子育てをしながら、地元名古屋のクラブで子供たちにスケートを教える。17歳の気持ちは変わるかもしれない。確かなのは、最後のシーズンという覚悟でトリノまでの毎日を大切にするということだ。4回転ジャンプを含め、安藤美姫にしか出来ないオンリーワンの演技を目指して。=敬称略=おわり

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 この連載には村田隆和、来住哲司が取材に加わりました。次のシリーズは13日スタートの予定です。<文・張智彦/写真・貝塚太一>

毎日新聞 2005年6月8日 大阪夕刊
by markzu2B | 2005-06-09 23:48