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安藤美姫とマリア・シャラポワ

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/8

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/8_c0065429_18464084.jpg ◇美へのステップ

 顔を合わせると冗談を言ったり、ふざけ合ったり。振付師のデビッド・ウィルソン(39)と安藤美姫は次第に打ち解けてきた。だが、振り付けが始まると、リンクの空気は一変する。

 鋭い感性を持ち、美を激しく追求するウィルソンは妥協を許さない。新プログラムの目玉の一つはエレガントな大人の女性を演出すること。音楽に合わせて、柔らかな手の使い方や、首のかしげ方まで、手取り足取りの指導が続く。

 振り付けを外国人に任せるようになって、安藤は4年目を迎える。最近2年はリーアン・ミラー、02~03年シーズンはマリーナ・ズエバ。いずれも女性だ。

 プログラム作りの過程は一様ではない。ミラーは曲を少しずつ聞かせて、そこから少しずつ振りを決めていく。ズエバはリンクのどこを滑るかを最初に示してから、振り付けに入っていく。ウィルソンは最初から氷の上に立つ。しなやかな身のこなしを教え、難度もアピール度も高いステップを踏ませている。「恥ずかしがらないで付いておいで。その調子でいいんだ」

 スケーターを生かすも殺すもプログラム次第と言っていい。02年ソルトレークシティー五輪代表の村主章枝(すぐりふみえ)(24)は8年前、ローリー・ニコルと出会ってから世界のトップクラスへと飛躍した。見る者の心に訴えかけるプログラム作りを目指す女性振付師は情感豊かな村主とマッチした。コンビは年を重ねるごとに質を高め、最近は多彩な作品でファンを楽しませている。

 振付師を信頼しながら、一つ一つの動作を覚える。レッスンはほぼ休みなく、1日3時間を超える時もある。ハードな日々にも「楽しくできている」と安藤は屈託がない。=敬称略=つづく<文・張智彦/写真・貝塚太一>

毎日新聞 2005年5月19日 大阪夕刊
by markzu2B | 2005-05-22 04:17