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安藤美姫とマリア・シャラポワ

安藤美姫17歳 ’06トリノ五輪へ/3

 ◇磨く「エレガンス」
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 安藤美姫に最も必要なのは何か。元五輪女王の新コーチ、キャロル・ヘイス・ジェンキンス(65)は「エレガントさ」と即答した。フィギュアスケートは表現力や芸術性も求められる。情感豊かな演技で観客をいかに魅了するか。雰囲気や立ち居振る舞いがものを言う。

 安藤が取り組んでいるのが前傾気味と指摘される姿勢の矯正だ。スケートを始めたころ、国際舞台で活躍する地元名古屋の先輩たちが前へ突っ込むようなフォームで滑っていたのを見て、「勢いがつきそう」とまねしたのが始まりだった。

 上体を真っすぐに保ったスケーティングは見栄えがするし、次の動作にも移りやすい。中学2年から約4年間師事した佐藤信夫コーチ(63)らの指導でかなり改善された。それでも「まだまだ自分のスケートは幼い。世界のトップとは差がある」と自覚している。

 米クリーブランドでは、姿勢の美しさと、難しいステップをこなすエッジワークが生命線となるアイスダンサーの指導も受ける。お尻に力を入れて背筋を伸ばし、ひざを柔らかく使って滑る。体重がエッジの正しい部分に乗っているかを確認しながら。

 渡米前、「フィギュアはエレガントなスポーツ。上質なスケートを覚えてほしい」と話していたのは日本スケート連盟フィギュア強化部長の城田憲子(58)。連盟の要請を受け、安藤に付き添っている元五輪代表のインストラクター、樋口豊(55)は「悪い癖が抜けてきた。こっちの質のいい氷で滑り込めば楽しみ」と期待する。成果は出つつある。

 「人に見せられるようなスケートがしたい。それから自分の色を出していければ」。少女から気品ある大人のスケーターへ。その途上に安藤はいる。=敬称略=つづく<文・張智彦/写真・貝塚太一>

毎日新聞 2005年5月11日 大阪夕刊
by markzu2B | 2005-05-12 03:18